2019-12 の記事

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Posted at 2019年12月09日 17時20分01秒

「花と龍」その3

アフガニスタンで活動しているNGOのペシャワール会の現地代表の中村哲医師が銃撃され亡くなったとのニュースが本日飛び込んで来ました。心からお悔やみ申し上げます。

8年程前にこのホームページで中村哲医師に関するブログを書きましたが、再々掲します。
以下の通りです。


福岡の地方版ニュースを見ていると炭鉱関連のものがやたらと出て来ます。
今はもう廃れてしまいましたが、県の代表的な産業でした。

そんなニュースを見ていたら、火野葦平の「花と龍」のことを語りたくなりました。

学生時代、同じ稲門の先輩である作家たちの作品を読むのは当たり前でした。
尾崎士郎「人生劇場」、五木寛之「青春の門」、そして「花と龍」等々。
特に五木と火野は福岡県人ですし・・

しかし若い頃はどれも内容が暗いし、必ずヤクザが絡んでいるし、70年安保直後の殺伐としたキャンパスの雰囲気も重なってあまり読む気になれませんでした。
「花と龍」を読んだのは数年前です。

しかし、こんなに面白かったのか!と思いました。

著者の火野葦平こと玉井勝則が、明治中期から昭和にかけての、両親である玉井金五郎とマンの裸一貫からの、石炭積み出し港だった洞海湾での沖仲仕としての活躍を、事実に基づきながら、度胸、行動力、リーダーシップや情の深さを、キったハったを交えながら見事に描き切っています。

私が小学校に上がる前、小倉の井筒屋の食堂で、隣の席にいた着物姿のおじさんに、本好きの母親が「火野葦平さんですか?」と話し掛け、私は頭を撫でられた記憶があります。

しかし戦後は「麦と兵隊」など「兵隊三部作」で戦犯作家として公職追放され、同時代の太宰治や松本清張ほどは評価されませんでした。でも彼が日中戦争当時に芥川賞を受賞した「糞尿譚」はおカミに楯突く「し尿組合」の活躍を描いたもので、書いた葦平も選出した側も時代背景を考えれば、大した勇気だったし、彼が単に戦争を美化したとはと思えません。

2年程前 若松駅前の資料館とそこから少し離れた彼の旧居「河伯洞」を訪れました。
「河伯洞」の管理人さんは葦平の三男史太郎氏ご夫妻で、史太郎氏は既に70代でしょうか、また同じ稲門でもあり、詳しく説明して頂きました。

玉井金五郎の写真がありました。目が大きくどこかで見た顔です。葦平とはそれほど似ていません。
私の怪訝な表情を察知した史太郎氏は「中村哲は金五郎の孫に当たります。私とはいとこです。哲はこのことはあまり言いたがりませんけど・・」

アフガニスタン等で我身の危険をものともせず、医療、水利、農業活動で活躍されているペシャワール会の中村哲医師です。
もともと九州大学医学部にはそのような伝統があると聞いていましたので、哲氏もそういう方なんだろうと思っていましたが、金五郎の血の流れだと聞いて、改めて納得しました。哲氏の母親は金五郎の次女つまり葦平の妹の秀子さんです。

「花と龍」は岩波現代文庫から上下巻が出ています。
以上大勢の個人名を書きましたが、どなたのご了解も得ていません。しかし書いたことの全ては既にネットや文書で公開されていますので、何卒ご了承下さい。

Posted at 2019年12月04日 18時10分31秒