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ルイのひとりごと 秘密

「秘密」

この言葉を聞いてあなたはどう思いますか?

誰にも知られたくない「秘密」

隠さなきゃいけない「秘密」

もしくは...

打ち明けたいけれど、打ち明けてはいけない「秘密」・・・

ひとは様々な理由で、それぞれの「秘密」をもっています。

なんて書いたらとても意味深ですが、今日ブログに書きたいことは

東野圭吾さんの小説と、それを原作にした映画とドラマの「秘密」です。



数年前に広末涼子さん主演で話題になった映画版の「秘密」も素晴らしかったのですが、
金曜日ナイトドラマ版の「秘密」も素晴らしく、毎週楽しみにしています。

簡単なあらすじは

杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と16歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。

直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落してしまう。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、直子は死亡してしまい、藻奈美は一時は回復不能といわれたにもかかわらず奇跡的に助かる。しかし、藻奈美は突然まるで直子であるかのような言葉を発する。彼女には直子の魂が宿っていた。藻奈美の体に宿った直子に平介は戸惑いながらも周囲には決してバレないように、
平介と直子(身体は娘、心は妻)二人だけの【秘密】の生活が始まる・・・

といった内容ですが、38歳の母親が16歳の娘に入れ替わって、生活するということは、そんなに簡単なことではありません。

二人は夫婦でありながら同時に親子であり、直子は藻奈美として戸惑いながらも16歳の女子高生として生活を始め、夫である平介もそんな直子に対しどう接していけば良いのかわからないまま、家族としての生活を始めます。

しかし・・・

世間から見れば二人は親子。

妻を亡くした38歳の父親と、母を亡くした16歳の娘なのです。

二人の間には、決して越えることが出来ない大きな壁が立ちふさがります。

二人は誰よりも互いのことを大切に想っているのに、互いの立場の違いから、相手のことを理解したくても理解できない苦しみ、時に相手のことを信じられなくなり疑ったり、そんな自分に嫌悪したり。

そして夫婦でありながら、愛し合うことのできない悲しさ・・・

そんな苦しみや葛藤の中、それでも、以前のまま直子を愛し、夫婦であろうとする平介

平介の気持ちを痛いほど分かりながらも、現実を受け止め、藻奈美として生きようとする直子。

みていて本当に切なくなります。

そして、立場の違いから、理解し合えないのは平介と直子だけではありません。

バスの事故の被害者の遺族と加害者の遺族のそれぞれの苦しみ、葛藤。

加害者の家族も被害者でありながら、被害者の家族との立場の違いによりお互いに理解し合えない悲しさ。

高校生である藻奈美の友人たちと学校の親や教師たちだったり。

どちらが「正しく」どちらが「間違っている」訳ではありませんが、どちらの立場の人達も一生懸命生きているのです。

小説、映画、ドラマを問わず「秘密」を観る度に思い出す話しがあります。

「ヤマアラシのジレンマ」
むかしむかしあるところに、二匹のヤマアラシがいました。
ある晩のこと。
あまりに寒い夜だったので、この二匹のヤマアラシは、
近づき、体を寄せ合って、互いの体を温めようとしました。
しかし近づこうとすればするほど、温めあおうとすればするほど、
互いに体の針が相手の体に刺さってしまい、傷つけあってしまいます。
だからといって、離れれば離れたで、夜の寒さに打ち勝てそうもありません。
二匹のヤマアラシは互いにくっつき、痛みを感じ、そして離れ、寒さを感じながら
互いに痛みを我慢でき、互いのぬくもりを感じあえる距離を探っていきました。
そして一晩中くっついたり離れたりを繰り返した結果、
そこまで痛くも無く、相手のぬくもりを感じられるような距離を見つけて
夜の寒さをしのいだそうな。
この二匹は、その後も幸せに暮らしましたとさ。


ドイツの哲学者、ショーペンハウエルの随想録に収められた有名な寓話ですが、平介と直子の関係が、まさに「近づこうとすればするほど、温めあおうとすればするほど、互いに体の針が相手の体に刺さってしまい、傷つけあってしまう」というジレンマを感じさせ、この寓話の最後は、「相手のぬくもりを感じられるようなちょうど良い距離を見つけて、夜の寒さをしのぎ、その後も二匹は幸せに暮らしました」とハッピーエンドでくくられていますが、平介と直子の二人はどうなっていくのでしょうか?

小説版、映画版ともにご覧になった方はご存知だと思いますが、この作品のタイトルである
「秘密」には、更に深い「秘密」が隠されています。

そのことを知った時に、わたしは非常にやるせない気持ちになり、とめどなく涙があふれて
きました。


わたし個人の感想でいえば、小説版の本当の「秘密」が明かされる経緯が非常に悲しいことなのですが、「どんなにつらくても切なくても、自分で決めたことだから、決して本心を明かさず、本当の気持ちを心に封じたまま秘密を守り通し生きていく」と、一見冷たいかもしれないれど現実をみすえた選択をした直子に「なんて強い女性なんだろう」という印象を受けました。

一方、映画版の「秘密」が明かされる経緯については・・・

最後の最後で直子が、ついうっかり、あることをしてしまい「秘密」が明かされるのですが、僕は直子はついうっかりしていたわけではなく、意図的にしたのではないかと思います。

その行為がどれだけ卑怯で、その結果「秘密」を知っていまった者にとっては、何よりもつらく残酷で酷いことなのか、自分が「秘密」を明かしてしまうことで、この先一生消えない十字架を背負っていかなければならないことを全部分かったうえで、それでも、どうしても最後に「自分はここにいる」というメッセージ伝えたかったのだと思います。
そんな直子に対し「ものすごく身勝手で残酷。でも、とても人間らしく、とても悲しい女性」という印象をうけました・・・

小説版の直子の行為はとても悲しいですが現実的で納得できます。

かたや映画版の直子の行為はものすごく身勝手で残酷で、きれいごとだと分かっています。
でも、その中にある、切なさ、悲しさ、そしてあの頃に戻りたくても戻れない、でも最後に
もう一度だけ・・・という悲痛な叫びを感じさせるこの行為をあえてしてしまった直子の弱さ。

わたしは映画版の方が好きです。

小説版のキャッチコピー『運命は、愛する人を二度奪っていく』

映画版のキャッチコピー『サヨナラは、二度目の方がずっと切ない。』

そして今回のドラマ版のキャッチコピー『秘密が、愛を、濃密にする。』

主演の佐々木蔵之介さんと志田未来さんの演技が素晴らしく、毎週楽しみにしている金曜ナイトドラマ版の「秘密」も残り2回となりました。

小説版とも映画版とも違った「秘密」を明かしてくれるのを楽しみにしています。



Providence Lui

当たる占いの店東京神楽坂占い処大神(おおかみ)
http://sedona-uranai.com

Posted at 2010年11月27日 00時24分46秒