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だって・・・バイクだよ!




「ザッツ・レーシング」
だって・・・バイクだよ!

「明日以降の晩飯も、これぐらい笑ってられるといいな。なあ!?」と、ノリックに話を振る。
「そりゃあもう、バイク次第ですよ!」と、すかさず反撃するノリック。
「いや、メカの仕事次第かな」と、チーフメカニックの難波恭司を牽制して笑っている。
ブレーキメーカーのニッシンのスタッフに、「いや、やっぱブレーキかな」。
ノリックの言葉に全員爆笑だ。
笑いながら、「何言ってんだ、最後はライダーだよ、ライダー」と猪崎が言った。
「気合い入れて、開けりゃいいんだよ、アクセルを!」
僕は一瞬、ひやりとした。
GPで3度の優勝を果たした男に向ける言葉としては、そぐわないのではないかと思った。
でもノリックはまったく気にするふうはなく、
「アクセル開けたって、バイクが走んないんじゃなあ」と口を尖らせている。
「うわ、言うなぁ!」と猪崎。
「でもさ、そこをノリックの腕がカバーしてくれるんだろ?」再び大笑いだ。
実際のところ、各メーカーのマシンを見て回った限りでは、
ノリックのYZF-R1に優位は感じられなかった。つぎはぎだらけと言ってもいい。
僕は、彼らの笑いにくるまれた、大きなプレッシャーを感じずにはいられない。
今、与えられた条件の中で、そのプレッシャーに立ち向かうのが、彼らの仕事だ。
ちらりと腕時計を見て、「お先に」とノリックがモーターホームに戻る。
「日本人テーブル」に、静かな空気が漂う。
「ただのバカ話だと思うでしょ?」と猪崎。
「だけどね、こういうバカ話でも、ライダーがノッてくれればいいんですよ。レースしてる時、ナニクソってアクセルを開けてくれりゃ、それでいいんだ。こうやって周りが盛り上げれば、ライディングだって少しは変わる。僕はそう信じてるんだよね」

ノリックの転倒を知ったピット内では、スタッフがモニターを凝視していた。
そのスキを突くかのように、思いがけないほど早く、
背後からノリックがピットに戻ってきた。
「アイムソーリー」と、スタッフに謝って回る。
チームオーナーのマルシアール・ガルシアは、
ノリックの顔を見て、「すごくファンタスティックだったよ」と
屈託のない笑顔を浮かべている。
チーフメカニックの難波恭司は、
「謝る必要はないよ。謝る必要なんかない」と阿部の肩を叩く。
 
ガルシアの笑顔と、難波の言葉。
それはチームの総意、引いてはレースを見ていた多くの人々の総意だった、と僕は信じたい。
レースを終えた日曜日の夕方、阿部は何人もの関係者や観客に、
「グッドジョブ!」「ナイスレース!」、よくやったね、と声をかけられていた。
もちろんそれは5位で11点を獲得したレース2ではなく、
転倒して0点に終わったレース1のことだった。
 
僕は後片づけに追われる何人かのチームスタッフに話を聞いて回った。
ノリックのレース1は、本当にあれで良かったのだろうか?
チームオーナーのガルシアは、
「レース中のすべての出来事は、ライディングしている彼だけが判断できることなんだよ。
だから、レース1の彼の走りにも、転んでしまったことにも、何の不満もない。
むしろ、パワー不足のマシンで頑張ってくれたことに感謝しているんだ」と言った。

メカニックの矢内淳一は、「そりゃもう、イケイケでしょう!」と、ニカッと笑う。
「だって彼は、レーシングライダーですよ。
僕なんかは『いいからイケ!』『とにかくイケ!』としか思わないんですよね。
転んじゃったものはしょうがない。
バイクなんていくら壊れたって、我々が直す。
ただ、ケガだけはしてほしくないですけどね」

2位を争ったことに関しては、
「当然のポジションを走ったってだけ」と、あっさりしている。
「彼はトップライダーなんだから、表彰台争いをして当たり前。
ようやく『本来いるべき場所』に来られたな、としか思いませんでしたよ」
ドイツ人のデータマン、イーバウワー・ユーベルトは、
「すごくビューティフルなレースだったよね!」と興奮気味だ。

「ザッツ・レーシング」

「ノリックは、素晴らしいレースを見せてくれたと思う」
そして、レース1をこう解析している。
「ノリックは、決してバーミューレンを抜こうとして無理をしたわけじゃないんだ。
それはデータを見れば分かる。ただいつものように集中して走っていただけだ。
まるで精密機械みたいにコンスタントにタイムを刻むのが、ノリックの優れた点だ。
でも、あのコーナーでは、ちょっとアクセルを開けるタイミングが早かったんだ」

チームのスーパーバイザーを務めているクリスチャン・サロンは、
元世界GPチャンピオンらしい見解だ。
──もしあなたがあの時の阿部選手だったら、どうしましたか?
一瞬ためらってから、サロンは言った。
「僕なら、最終ラップまで待った。バーミューレンの走りは荒かったから、
後半は絶対にタイヤがつらくなるだろうからね。でも…」と、肩をすくめる。
「こればっかりは、実際、その時になってみないと分からないよ。
彼は彼のスタイルで走った。それだけのことなんだ」

そして、こう続けた。
「彼には3位をキープするという選択肢があった。それは確かだ。
でも、彼のあの走りには、我々の未来があったと思うよ」

転倒し、0ポイントに終わったレースでも、そこに未来を感じる、というのだ。
「だってさ、これはレースだよ? 目の前にタラタラ走ってるライダーがいれば、
そりゃ行くしかないでしょう」と、猪崎は明快だ。

僕は再び、木曜日の夕食を思い出す。
──あの晩、阿部選手に「アクセルを開けろ」と言っていましたよね。
レース1で彼が攻め切ったことに、少しでも影響があったと思いますか?
猪崎は、「いや、そんなおこがましいことはまったく思わない」と即答した。
自分たちの本来の仕事は別のところにある、と。
「ノリックは、例え70%のバイクに乗せたとしても、100%のポテンシャルを引き出す。
生まれつき高い技量やバランス感覚を持っているんですよ。
だから我々としては、ヤツの言葉をしっかり理解して、
ヤツの求めるマシンを作らないといけない。
うまくヤツの世界に踏み込んで、ヤツの感じていること、
望んでいることを引き出すのが仕事なんだ。
そうして100%のマシンを用意できれば、
もっとすごいパフォーマンスを見せてくれるはずなんだ」

でも、と猪崎は続ける。
「ノリックみたいに才能のあるライダーと仕事をしていても、
やっぱり最後は、人と人がどう接するかってところなんだよ、
レースって。それはレースのレベルに関係ない。
乗ってる人間の気持ちと、バックアップしてる人間の気持ちがひとつになって、
みんなが一生懸命になれるのが、レースなんだ。
リザルトには結果しか載らない。けどさ、そこに至るまでには、
人間同士のドラマがあるんだよ」

「あそこで行くしかないと思っていた。仕掛けるなら、
あのコーナーしかなかったんですよね」とノリックは言う。
前を走るバーミューレンのペースが落ちてきた以上、
抜いて前に出るという選択肢しか、彼にはなかった。
「でも、バレンシアってなかなか抜けないコースなんで、
ちょっとイライラしたかな。アクセルを開けすぎましたね。
いやあ、それにしてもあの転倒で、ずいぶんいろんな物を落としちゃったなあ。
初表彰台とか、ボーナスとかね」
後悔していないわけではない。でも、笑顔だ。それには理由がある。

「自分にすごく安心できたんですよ。
3位表彰台は確実って状況でも、
目の前に他のライダーがいれば、
オレはまだ攻めていけるんだってことが分かったから。

悪いレースが続くと、どうしてもポイント獲得のために、
ポジションをキープする走りになる。GPではずっとそんな感じだった。
でも、今回は攻め切れた。もちろん、絶対に転んじゃいけなかったのは確か。
だけど…、あの走りは次につながるんですよ」

クリスチャン・サロンも同じことを言っていた。
「あの走りには、未来がある」と。

その意味が、僕にはよく分かった。
あのレースで、阿部はR1のアクセルを思いっ切り開けていたのだ。
簡単なことだが、それがレーシングの基本だ。
ライダーの仕事は、何はともあれアクセルを開けること。
そしてチームの仕事は、ライダーにアクセルを開けさせるマシンや環境を作ることだ。
アクセルを開けなければ、マシンは前に進まない。
これは、どんなレベルのレースでも決して変わらない真理だ。

ノリックがチ−ムの方々と残された言葉です
フリーライター高橋様のサイトに全編が掲載されています

だってバイクだよ!
アクセル開けるしかないでしょ!
行くしかないでしょ!


By Miru

 
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Posted at 2017年04月27日 08時52分34秒

だって・・・バイクだよ!




■ レ−シング・ノリックの言葉

だって・・・バイクだよ? 
目の前にタラタラ走ってるライダーがいれば
そりゃ行くしかないでしょう?

いつも思うんだけど1億円かけたバイクだって
ライダーの気持ちが乗れてなかったら
絶対アクセルが開けられないもんなんだ
でも・・・例え100万円しかかかってないバイクでも
ライダ−がマシンを100%信用できていれば
1億円のマシンより速く走る可能性がある

アクセルを思いっ切り開けていく!
簡単なことだが それがレーシングの基本だ
ライダーの仕事は何はともあれアクセルを開けること
アクセルを開けなければマシンは前に進まない
これはどんなレベルのレースでも決して変わらない真理だ
もちろんそこにはリスクがある
しかしその上でなおライダ−はアクセルを開けようとする
「速く走りたい」という純粋な思いがそこにはある
その純粋さに人は心を打たれる・・・それもレ−スだ

誰もが思い切り右手をひねろうとしている
だからこそ輝いている

ノリックがMotoGP時代にチ−ムの方々と残された言葉です

だってバイクだよ!
アクセル開けるしかないでしょ!
行くしかないでしょ!


By Miru

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オ−トバイはやっぱりコーナ−リングが楽しいよね♪
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Posted at 2017年04月23日 01時04分26秒