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宮司ちょっといい話 『おもてなし』

宮司のちょっといい話
『おもてなし』


 デパートの開店は午前十時が定番です。
もちろん早いうちから準備が始まり、
開店少し前には定位置に着き、
手は身体のほぼ中央で合わせ、腰を約45°に曲げ、
お客様をお招きする…。

これが日本全国の百貨店開店の「形」であります。

私達日本人にとってはあたりまえの光景ですが、
外国人にとってはとても珍しく映るようで、
まるで「王子様か女王様になったような気分です。」と絶賛します。

それもそのはず、
あの「夢の国」ディスニーランド(カリフォルニア)から
「三越デパート」に勉強をしに来るほど、
日本のデパートの「おもてなしの心」は徹底したものなのです!


 今回は、この日本人独特の「おもてなし」を考えていきたいと思います。


 まず、「おもてなし」を辞書で引いてみると
「もてなし」に「お」の丁寧語をつけたものなので出てきません。

そこで、「もてなし」を調べてみると
「とりなし、とりつくろい、取扱い、待遇、馳走」などと解説され、
私たちが普段考える「おもてなし」とは少し違っていることが分かります。

つまり、「おもてなし」は辞書に載っていない「日本人の心」ということになるのです。


 「おもてなし」を私なりに解析してみると次のようになります。

一言でいえば「客人が満足する主人(あるじ)の心遣い」
というようなものではないでしょうか。

それでは「主人の心遣い」とは何でしょうか。

それは、日本人が古くから培ってきた、
人と人とのお陰様から生まれた感謝の心、
つまり、「しつらえ(きちんと美しく装う)・たしなみ(気遣い・慎み・謙虚)
そしてふるまい(行動・作法)」なのです。

そして、これらのどれか一つでも足りないと「おもてなし」にはなりません。

たとえば、よそのお宅にお邪魔したり、店に買い物に行ったとしても、
そこが汚れていたり、気遣いが出来ていなかったり、
雑な仕事をしていたらどういう気分になるでしょうか?

このように、「おもてなし」は気配り、目配り、心配りという心遣いがあって
始めて成立するものなのです。

ところで、この「おもてなし」の心遣いは、実は親から子、
子から孫へと受け継がれるべき日本特有の規範で、
今でいう道徳心にも通じるものなのです。

ここで、江戸時代に作られ、少し前のテレビでの公共広告機構(AC)の
マナー啓蒙CMで広く認知されるようになった「江戸しぐさ」をご紹介したいと思います。

この「江戸しぐさ」は、文字通り江戸時代にまとめられたものですが、
その「心遣い」は奈良、平安までもさかのぼる「日本固有の心」なのです。

当時江戸の町は、日本各地から様々な人が集まっていた事から、
お互いに気持ち良く暮らすための「工夫」が必要だったのです。

文書としては残されていないものの、
口承されて今日「江戸しぐさ」として知られるようになったものです。

 ○傘かしげ・・・・・雨の日に互いの傘を外側に傾け、濡れないようにすれ違うこと。

 ○肩引き・・・・・・道を歩いて、人とすれ違う時左肩を路肩に寄せて歩くこと。

 ○時泥棒・・・・・・断りなく相手を訪問し、
           または、約束の時間に遅れるなどで相手の時間を奪うのは
           思い罪(十両の罪)にあたる。

 ○うかつあやまり・・たとえば相手に自分の足が踏まれたときに、
          「すみません、こちらがうかつでした」
           と自分が謝ることでその場の雰囲気をよく保つこと。

 ○七三の道・・・・・道の、真ん真ん中を歩くのではなく、自分が歩くのは道の三割にして、
           残りの七割は緊急時などに備え他の人のために空けておくこと。

等、まだまだ1000近くあると言われています。


 いかがですか。明日の学校の教科書に載せてもいい内容ではありませんか。


 「おもてなし」の「心」が生まれる背景には「江戸しぐさ」にみられる
奥深い日本人らしい「気遣い」があると、わたしは見ています。

それに「しつらえ」や「たしなみ」そして「ふるまい」が合わさり、
はじめて日本特有の「おもてなし」の「心」になるのです。


 「江戸しぐさ」の心を回復させ「おもてなし」の心を
日本全体によみがえらせる事こそ、現代において問題視されている、
道徳心の欠如への最善の解決策になるはずです。

その時に初めて、真に明るい未来が見えてくるのではないでしょうか。

早速「江戸しぐさ」をひも解いて、多くの人たちに伝えて下さい。

日本を再生するのはまず「私たち」からなのです。



ちょっといい話は・・・鎮守氷川神社

Posted at 2013年04月21日 17時47分29秒