メインメニュー

〜 年中行事   

 さて、いよいよこのシリーズが「人生儀礼」から「年中行事」に移ってまいります。

 世の中が変わり時代が移り変わるとも、
やはり一年の始まりが「正月」という文化は変わることはありません。
日本人は古くから「稲作」を中心として一年を過してきましたので、
「稲」は「命」とほぼ同義でした。
全国で行われている「正月行事」のすべてが「稲の豊作・命の再生」のお祭りであり、
一年の始まりである「正月」は、まさに、新しい「命」を頂くという
希望に満ちた『年の始め』だったのです。


 経済中心の慌ただしい現代文明の中にあって、
日本人の価値観が変わってきてしまったように思います。
正月から始まる一年、そして、穏やかな四季と共に景色は彩られ
やさしく時を刻み続けていることには何の変化もありません。
その風土に培われた、雅(みやび)・慎み・気高さ・誇り・品格・・・等の
価値観だけは変えないで欲しいものです。
世の移り変わりに「心」の迎合まで許す事なく、
大自然に神様を感じ、雨音や虫の声に耳を傾けながら
「感性」の中で一年を過ごす贅沢を味わってみてはいかがでしょうか。



 [正月]
 当たり前の一週間であれば、なんとなく 月曜・火曜・水曜・・・・
という「曜日」の単位で生活が営まれますが、年が改まる一週間となると、
曜日を越えて時間だけが毎日を刻みはじめます。
大晦日まではとても気ぜわしく慌ただしく感じられ、
たった一日一晩寝ただけでまったく違った一日が始まるのです。
身も心も新鮮で、何もかもが「初もの」で、すべてが「晴れがましく」、
昨日までの街の景色までキラキラ輝いて、しかも、太陽までが新しく感じられます。
なぜ、「元旦」「正月」が尊く、美しく希望に満ちあふれた日に感じられるのでしょうか。


 ひとつには、前述のとおり「稲の豊作・命の再生」にあります。
「稲」が無ければ「命」が無いのと同様ですから、
「稲」の豊作には限りない期待や願いが込められます。
それが、今日の「初詣」における「新たな希望」や「願い事」の原点となっているのです。
そして、お年玉は本来「お年霊(おとしだま)」で、
年の初めに新しい霊(たましい)を頂くという「命の再生」の意味が込められているのです。

 もうひとつには、大晦日までの準備にあります。
そうです、「正月」を解説するには、その日を迎えるための
「大晦日」の心構えや準備について理解する必要があるのです。
かつては、十二月十三日を「正月始め」と言って、
この日から大晦日に向けて「歳神様(としがみさま)」を迎える
慌ただしい毎日があって、やっと正月を迎えることができたのです。

その準備とは・・・?

 独自の大晦日や正月の過ごし方が、
習慣として今でも地方に行くと残されているところがたくさんあります。
しかし、そうした習慣が忘れ去られている場所が増えているのも事実です。
日本人が古くから行ってきた習俗習慣が、家からも、学校からも、消えつつあるのです。
このままでは、大晦日も正月も、なんとなく流れる一週間に埋没してしまって、
節度の無い、新鮮味が無い日本人になってしまうのではないでしょうか。


 次回は、語り継ぐべき大晦日や正月の行事を具体的に解説していきたいと思います。

Posted at 2010年10月26日 17時45分17秒