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〜人生儀礼 編〜 その六

 「人生儀礼」を一つ一つ越え、「厄祓」を節目節目に行うことで、人はその折々に心身ともにリフレッシュします。そして、それを機に初心に返り、改めて新しい一日を迎えることで、充実した人生を歩むことができます。これこそが、「日本人特有の人生観」ということがいえるでしょう。人生儀礼の後期に迎える節目が『還暦(かんれき)』という儀礼です。

 『還暦』とは、文字通り「暦(こよみ)」が「還(かえる)」という意味です。「還」という字を辞書で調べると、「円をえがいてもとへもどる。いったものがもとの場所にもどること。」と出ています。つまり、『還暦』とは人生のスタートを刻む「生まれた日」から、長い道のりを歩き続け、幾多の困難を乗り越え、円をえがくようにして、やがて「生まれた日」にもどるということです。これを具体的に解説すると、次のようになります。

 今年を例にとってみますと・・生まれ歳は「庚(かのえ)寅(とら)歳」です。この「庚」が十干(じっかん)、「寅」を十二支(じゅうにし)と呼び、これらを合わせて『干支(えと)』と称します。そして、今年生まれた人が次の『庚寅歳』の干支を迎えるのは60年後なのです。以上のとおり、『還暦』とは、「生まれた年の干支に還る」という意味なのです。

 「還暦」も「厄年」も当たるので、前述のとおり「心身ともにリフレッシュして、新しい一日を迎えるために」お祓いを受けます。しかし、これまでの「厄年」とは少し趣が違ってきます。正確には、年祝いの厄年いえるでしょう。

 古くは、人生40年とも、50年ともいわれており、60年ともなれば長寿ということになりました。そこで、「あなたは、一つの人生を立派に生ききりました。とてもおめでたいことです。」という年祝いをするとともに、御褒美に神様から新しい命の再生を戴きましょう。ということで、赤ちゃんにもどるために、赤いちゃんちゃんこと赤い頭巾を贈られ、生まれた時に行った『初宮詣』同様に、厄を祓って、再生を祝福するのです。

 いかがでしたか?なぜ、『還暦』に赤いちゃんちゃんこを贈る習慣があるのか。なぜ、「厄年」?という疑問が解消されましたでしょうか。もちろん『還暦』の後も年祝いが待っています。人生七十、古希稀なり・七十歳。「喜」の字を崩した  寿・七十七歳。「傘」の字にちなんだ仐寿・八十歳。「米」の字にちなんだ米寿・八十八歳。「卒」の字にちなんだ卆寿・九十歳。百の字から一をとった白寿・九十九歳。というおめでたいお祝いが続くのです。

 人生の節目に再生をするという日本人の人生観を「常若(とこわか)」と表現します。これは、常に若々しい心を持ち、新鮮な毎日を送るというすばらしい考え方にほかなりません。皆さんもどうぞ「人生儀礼」を今一度おさらいしながら「常若」の人生を歩んでいきましょう

Posted at 2010年03月10日 17時35分53秒