社会福祉法人のゆり会 のしお保育園は清瀬市西部に位置し、0歳児からの未就学児童を都営住宅の一階にある保育園で、お家と同じようにゆったりと健やかに育てます。
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(2018年7月)           鬼、ではない

  香川県から東京に引っ越してきた5歳の女の子が、ゆるしてくださいゆるしてください、と書いて、死んでしまいました。あのニュースを聞いて、胸がつぶれる気持ちに、ならない大人はそういないでしょう。 じぶんからきょうよりか もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがいゆるしてゆるしてください …と、その文章を読み上げながら、記者会見では捜査幹部が、ニュース番組ではキャスターが、涙をこらえていました。

 このような事件を見聞きするたび、鬼だ、と思います。彼らは鬼だから、普通ではないから、わたしとは違うから、と、思う。思わずにいられない。

 8年前のちょうど今ごろ、大阪で3歳と1歳のきょうだいが自宅マンションの一室に閉じ込められたまま、餓死した事件がありました。風俗で働く若い母親が、恋人と一緒にいたくて次第に子どもたちの待つ自宅に帰らなくなっていたこと、閉め切られた蒸し暑い部屋の、ゴミと糞尿と悪臭の中で2人は寄り添って息絶えていたこと…
連日衝撃的な報道が続き、今回の結愛ちゃんの事件と同じく、この母は極悪人として取り上げられました。裁判員裁判での判決は、虐待としては異例の、懲役30年の実刑。他にも数えきれないほど起きている虐待での子どもの死亡は、もっと軽い刑期で終わっている中で、この大阪の若い母が、通常よりうんと重い罰を受けたのは、世間がそれを求めたから、もあったのでしょう。社会が彼女を鬼だと憎んだから。

 でも、本当は。大人は奥底では、知っているのです。どんな虐待をする親も、鬼ではないことを。鬼なら、追い払って切り捨てれば良い存在なら、どんなにか簡単かと思うけれど、でも鬼なわけがないのです。人の子として生まれ、人の親になった、わたしたちと同じ人間なんだから。

 わたしは今はらっぱの自分の机に座って、これを書いています。つくしの部屋から、園庭から、にぎやかな声が聞こえてきます。のしおの子たち、かわいいです。わがまま言っててもヘソ曲げてても癇癪起こしててもひっくり返って暴れてても…何をしてもかわいいです。だって子どもなんですもの。まだこの世の中に出てきてやっと数年、いろんなことができなくて、でも彼らに今できる精一杯で、全力で、毎日を生きているのですもの。

 そしてあの大阪の母も、結愛ちゃんの両親も、昔は必ず子どもでした。きっと今ののしおの子たちと同じように、泣いたり笑ったり、毎日一生懸命生きている、子どもだったはずです。のしおの子たちと彼らの違いは、彼ら自身ではない。違ったのは、彼らの周りの大人たちだった。のしおの子たちが四方八方から有り余るほどもらっている愛情が、彼らにはきっと、注がれていなかった。親からも誰からも愛されず、気に掛けられず、さびしくて悲しい、子どもだった。きっと。そして彼らは鬼に育ってしまいました。

 世界中の子どもの誰ひとり、虐待で殺してはいけないし、虐待で我が子を殺す鬼にしてはいけない。そのために、わたしたちは、大人は、何をどうすれば良いのでしょうか…?

Posted at 2018年07月01日 00時00分00秒

 
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