
鏡としての身体
去年まだ美容整体量子場を受けている患者だった頃、施術後の身体の劇的な変化がうれしく、いてもたってもいられない気持ちで、中目黒の治療院を出て代官山や、帰宅の道中時間が許せば、自由が丘を抜け田園調布までにも散歩をしていました。
ちょうど初夏の季節で、昼下がりの青々とした木々の中、頬に風を受けながら歩いていくのは、一人じゃもったいないほど素敵な出来事でした。
身体の軽い感じ、軸が中心にぴったりと決まっている心地よさを味わいながら、自分の身体を街並みのショーウインドーに映し込んでは、その成果に微笑んでいたのです。
歩くだけで、こんなに幸せを噛みしめられるのは、なかなかない経験でしょう。
女性にとって身体で実感できる、体感できる、という気持ちの良さが、何よりうれしいことなのだと思います。
さらに、この喜びがあるイメージに結びついたとき、一つの素晴らしい価値観が創造されるのではないでしょうか。
例えば、好きな人を想ったとき、胸がキュンとなったり、身体のある箇所にうずきを感じる、まさにそのとき、わたしたちはこの変化を確認し歓喜します。
そして、好きな人のイメージと同一化してしまっているこの感触を、自分の身体とともに抱きしめ、女性としての悦びを味わうのだと思います。
この好きな人のイメージから呼び起された身体的感覚が、愛や夢という概念へ昇華したとき、つまりイメージと感覚と概念の三者が結びつくということが、女性としての実質的な幸福を感じる瞬間なのかもしれません。
ここから、イメージが身体的な感覚を形成する役割を成すということがわかるでしょう。
誰から習ったわけではなく、本来女性はイメージを身体に展開することが得意な生き物です。
化粧は、ただ物理的に何かを塗ったり張ったりする作業なのではなく、イメージを化粧という道具で展開する作業なのではないでしょうか。
憧れの女優やモデルというイメージや、あるいは「モード風」とか「小悪魔的」とかいうファッション雑誌等でおなじみの概念のイメージ、または愛する人に喜ばれるイメージを想いながら、それを顔の上に創造していくプロセスなのだと思います。
化粧すると逆に顔が黒く見える、というある人の指摘から、現在わたしはファンデーションやチークなどしない、見出しなみ程度のメイクですが、確かに過去きちんと化粧をしていたときは、「カトリーヌ・ドヌーブ風(若い頃)」とか、「クールな感じ!」という文句を呪文のように唱えながら、メイクをしていたようです。
そういう意味で、顔を含めた身体は自分自身の外側、単なる器というレベルを超えて、自分の意識との関係性において、自分自身を映し出してくれる鏡といえるのではないでしょうか。
本物の鏡に自分の身体を映し出して、ガックリと溜息をつくのは、理想とするイメージと自分の身体が隔たっているからで、鏡の中に観ているのは、自分の肉体というより、実際はこのイメージなのです。
ところで、92年に発売されて世界にさまざまな議論を巻き起こした、マドンナの「sex」という写真集は、多くの批判やタブー視を超えた、極めて知的な作品集です。
ここに彼女が鏡に映る自分を見ながらマスターベーションをしている写真があります。
彼女が観ているのは物理的というより、性というイメージが映し出された、メディア(媒体)としての身体なのではないでしょうか。
つまり、彼女は肉ではなく、自らの性が展開されている場を観ているのです。
これは物理レベルを超えた身体という観点を教えてくれる、とても示唆的で刺激的なものです。
身体はもともと物質ですが、わたしたちにとって自由なイメージを展開できる、もっとキャパシティーの大きな領域なのでしょう。
男性は女性の身体に自らの夢や美を映し出しているのかもしれませんし、女性は自らの身体に愛や美を展開しているのかもしれません。
院長は現在、患者さんの治療が終わった後、このベストな状態をできるだけ維持するために、姿勢や体調が悪くなったときこのときのことを思い出す、というイメージトレーニングのようなものを提案しています。
「あのときの自分」というように、75センチ前方に治療後の自分をイメージすると、誰しもスーと良い状態に身体が誘導されていくのが、明確に分かります。
この無意識的な力の方が、意識的な努力より遥かに身体を変える力があります。
身体を頑なに「もの」として所有しているのではなく、イメージを映し出し展開してくれる鏡であり、領域なのだ、という新たな認識を持ってみてはいかがでしょうか。
これは、自らの意識と身体をあるがままに許す、という自由さに通じるでしょう。
すると、観えなかったものが観えるようになり、イメージ通りの身体に変容することが、あなたにもできるのかも知れません。
化粧よりも、イメージ力、認識の力の方が、わたしたちを華やかに変身させてくれる魔法の道具なのですよ。
Posted at 2008年10月07日 03時03分50秒
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